
清の時代(1644〜1911年)、北京・紫禁城の御殿には、絹や金属糸で織られた豪華なカーペットが敷き詰められていました。現在、これらの宮廷カーペットは、世界の公的・私的コレクションを合わせても約300点しか確認されていません。この貴重なコレクションのうち、MGMに展示されている28点のカーペットには、作られた時代・様式・文様の意味に共通した特徴があります。 これらのカーペットは、康熙帝の治世に設けられた造辦処(ぞうはんしょ) と呼ばれる宮廷向けの工房で制作されました。造辦処では、宮廷のための工芸品や家具が作られ、特に金・銀・銅の糸を用いて龍や鳳凰、花などを刺繍した絹のカーペットで知られていました。 現存するカーペットのうち、わずか126点のみが、使われていた宮殿の名前を縁に刺繍で残しています。これらはおよそ20の楼閣に関係しており、中でも、太和殿、中和殿、保和殿、乾清宮、寧寿宮、景仁宫、6つの宮殿名が頻繁に登場します。