
「燃やした紙片と灰を使って作品を構築する。破壊から再生へ──生命は循環する。」と語る作者薛松( Xue Song)は、中国現代ポップアートの重鎮であり、水墨画や書道などの伝統技法を現代技法と融合させる風格で知られています。1990年に火災でアトリエを失った後、過去に燃やされた作品と財産の灰を作品に取り入れることで、自身への戒めと内省としています。その後、彼の代表的な作風は「焼却」と「コラージュ」となりました。 『澳門八景系列』(Eight Views of Macau)は、本人がマカオに赴いて、聖ポール天主堂跡や媽閣廟など、マカオのランドマークが描かれた8点の作品です。マカオ現地で集めた新聞と雑誌を燃やし、材料の灰として、薛松の個人的印象とマカオの人々に共通する記憶を交ぜて、紡ぎ出された重層的構造の物語を持つ作品です。
